家出少女たちの集い

先日、スーパーで買い物をしていたときのこと。

1組の父娘連れが慌てたように次のような会話を交わしていた。

「おとうさん、家なき子忘れてるよ!家なき子!」

「あ、ホントだ、家なき子買わな!」

父親は、小さな何かを手に取るとそのまま娘とレジへ向かってしまった。

家なき子・・・

あの親子はどうしてまた家なき子などを買おうと・・いや、それ以前にこのスーパーには家出をしたか実家を追い出されたかしたホームレス少女が陳列してあるのか。

陳列棚に並んでいるということは、コップのフ〇子さんのごとくミニマムな少女達に違いない。家なき子売場へ行けば、買ってくれ買ってくれとピィピィ懇願されるかもしれない。或いは物言わず訴えかけるような瞳で凝視され、養わざるをえなくなってしまうかもしれない。

件の親子が立ち寄った、売場のその一角へ私はゆっくりと足を運んだ。

そこは『はみがきこ』のコーナーだった。

あのときの私は、おそらく鼓膜か脳ミソが家出していたのだと思う。